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長期脱炭素電源オークションの参入メリットとは?参加方法についても解説!
脱炭素電源への新規投資を促すため、2023年度に「長期脱炭素電源オークション」が創設されました。長期脱炭素電源オークションに参加することで、事前に脱炭素電源から得られる収入の水準や収入が得られる期間を確定させることができ […]
2050年カーボンニュートラル達成と経済社会システムの変革に向けて、GXリーグが設立されました。未来に向けてあるべき社会をリードする企業が集まり、CO2削減と同時に、経済と環境および社会の好循環の実現を目指しています。一方で、GXリーグという言葉を聞いたことはあっても、設立背景や目的、具体的な内容について把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、GXリーグがいつから、どのような目的で設立されたのか、具体的にどのような場が提供されているのかに加えて、参画する企業のメリットについても解説します。
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、温室効果ガス(GHG)を排出する化石燃料を再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)へ転換するとともに、経済成長の機会にするために社会全体を変革していこうとする取り組みのことです。
日本は、2050年に二酸化炭素(CO2)排出量と吸収量を等しくするカーボンニュートラルを目指しています。達成するには、CO2排出量を削減するだけでなく、経済や社会のシステムを変革していく必要があります。GXの実現は脱炭素分野での新たな市場創出に繋がり、産業競争力が強化され国の経済成長を促します。
こうした背景から、経済産業省を中心として、企業のGXを促進するために「GXリーグ」の創設が進められてきました。GXリーグとは、カーボンニュートラルの実現や社会の変革を見据えて、持続的な成長を目指す企業群が連携して、官・学とともに協働する場です。
2022年2月には、経済産業省が「GXリーグ基本構想」を公表し、2023年2月からGXリーグ参画企業の募集が開始されました。GXリーグ参加企業数は2023年8月現在、500社以上にのぼります。
GXリーグでは、次の4つの場の提供を通じて、GXに積極的に取り組む企業の間で生まれた意見を政策に反映させることを目指しています。
GXリーグには、カーボンニュートラルに向けて企業が排出量取引を行う場として、「カーボン・クレジット市場」が設けられています。GXリーグの参画企業は、自主的に高い排出削減目標を掲げ、達成に向けて取り組みを推進しています。削減目標を達成するには、自社の削減努力だけでは減らせない排出量をオフセットする排出量取引が重要です。
そこで、GXリーグは2023年10月、東京証券取引所に「カーボン・クレジット市場」を創設し、試行的な排出量取引をスタートしました。カーボン・クレジット市場では、国内で広く流通しているJ-クレジットによる排出量取引が行われています。本格的な排出量取引は、現行の仕組みを強化して、2026年度ごろから稼働する予定です。このように、GXリーグにおける排出量取引を促す仕組みを「GX-ETS(Emissions Trading System)」と呼びます。
GXに関する将来的なビジネスチャンスを踏まえて、新しい市場の創造に向けて官民でルール形成を行う場として、テーマ別に設定された「ルールワーキング・グループ(WG)」があります。ここでは、ルールの設計から実証、世界に向けた発信まで行うことを目指しています。
今年度はカーボン・クレジットの定義や認定について議論する「適格カーボン・クレジットWG」、日本企業の脱炭素の取り組みが世界の市場で評価される仕組みを構築する「2023年度GX経営促進WG」、GX人材の労働市場の立ち上げを目的とした「GX人材市場創造WG」の3つのWGが組成されました。
2050年カーボンニュートラルが実現された未来の経済社会システムを思い描き、官民のルールメイキングや参画企業の経営戦略、事業開発などについて業種を超えて対話する場は、「GX フューチャーセッション」と呼ばれています。今後普及するであろうサービスや製品、制度の発想など、カーボンニュートラルが達成された未来のビジネスや社会について議論が交わされています。
カーボンニュートラルを実現するための連携や創発、共創を推進するための自由な交流の場は「GXスタジオ」と呼ばれ、気候変動関連の課題や関心事項について、ディスカッションや意見交換が行われています。GXスタジオは、2023年6月と8月の2回開催されました。
GXリーグは経済社会システム全体の変革を目指しています。では、参画する企業にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、大きなメリットを3つ解説していきます。
GXリーグの賛同企業になると、GXリーグのWEBサイト上に社名が掲載されます。また、GXリーグのロゴなども自社HPなどで使用できるようになります。GXに積極的に取り組んでいることを対外的にアピールできるため、企業のブランディングにつながるというメリットが期待できます。また、採用活動においても自社の取り組みとして訴求することができるでしょう。
GXリーグ内に創設された「カーボン・クレジット市場」では、J-クレジットによる取引と超過削減枠での取引の2つが行われており、GXリーグに参画することで、超過削減枠での取引が可能になります。自社の削減努力だけでは削減目標の達成が難しい場合でも、カーボン・クレジット市場を通じて超過削減枠を調達することで削減目標を達成し、カーボンニュートラルの実現に近づくことができるでしょう。
国が2023年2月に発表した「GX実現に向けた基本方針」では、GXに関する官民投資は、今後10年間で150兆円にのぼるとの見通しが示されました。GXリーグに参画すると、対外的にGXへの積極的な姿勢を示すことができるため、こうした投資を呼び込むことができるかもしれません。また、GXリーグではさまざまなルールの形成に向けて働きかけるため、自業界の発展に貢献できるようなルールを創造できれば対外的な評価が高まり、脱炭素投資に繋がる可能性もあります。
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GXリーグに参画するには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、日本国内で活動する法人であること。次に、「GXリーグ参画企業に求める取り組み」に賛同しなければなりません。
具体的には、事業会社においては、2050年以前にカーボンニュートラルを達成すると宣言することや、2030年度の排出削減目標や中間目標を設定することなどが求められています。さらに、サプライチェーンへの働きかけや、生活者や教育機関など市民社会との対話なども必要です。
また、金融機関においては、カーボンニュートラル宣言や排出削減目標の設定のほか、投融資先の排出削減活動を支援することなども求められます。
GXリーグに参画するための大まかな手続きとしては、GXリーグ参画申請書を提出し、事務局の審査を通過した後に、排出量や自主目標などのデータ登録を行います。その後、参画企業にはGXリーグが定めるガイドラインに沿った情報開示が義務づけられています。
GXリーグに参画すると、企業はこれから新たに創出される市場に関するルール形成に関与することができます。ルールを構築する段階から関わることができれば、自社のビジネスの追い風となる可能性もあります。
こうした背景から、現在では500社を超える企業がすでにGXリーグに参画しています。特に、幅広いサプライチェーンを抱え、社会的に大きな責任を抱える大手企業にとっては、GXリーグへの参画は今後の事業成長のために欠かせない取り組みであるといえるでしょう。
一方で、中堅・中小企業にとってもGXリーグは決して無関係ではありません。中堅・中小企業もサプライチェーンの中でさまざまな企業と関わっており、取引先から将来的にカーボンニュートラルを求められる可能性も否定できないためです。GXリーグへの参画は必須ではありませんが、GXリーグやカーボンニュートラルに関する動向をしっかりと把握し、自社もGXを推進することが重要です。
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