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CDP2024の変更点は?統合質問書や中小企業向け質問書等を解説
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二酸化炭素排出係数を低減できる発電方法として注目されている「バイオマス発電」。地球温暖化により、現代では二酸化炭素を排出しない発電方法の取り組みが進められています。そこで本記事では、再生可能エネルギーのひとつであるバイオマス発電や第三者認証の重要性について紹介します。
バイオマス発電とは、間伐材や家畜の糞尿など生物資源の燃焼を利用した再生可能エネルギーです。直接燃焼方式・熱分解ガス化方式・生物化学的ガス化方式の3つの種類に分けられています。
燃焼時に二酸化炭素(以下CO2)を排出しますが、それは植物が成長過程で吸収したCO2であるため、理論上は大気のCO2増加はありません(カーボンニュートラル※)。
また、バイオマス発電の燃料には、木くず・家畜糞尿・生ごみなどそのままでは廃棄されるものが含まれており、資源の有効活用にもつながっています。
カーボンニュートラル・・・燃焼させてもCO2量の増減に影響を与えない考え方
バイオマス発電は、太陽光発電や風力発電など他の再生可能エネルギーに比べ、安定的な発電が可能といわれています。燃料を計画にあわせて燃焼させて発電する仕組みであり、気象の影響を受けずに電気を供給できるためです。
バイオマス発電では、未活用の廃材等を燃料として使用することができるため、廃棄物の減少につなげることができます。
たとえば、日本では建材の需要が低下しており、間伐材が山林に放置されたままになるといった問題を抱えていましたが、バイオマス発電を導入することで、未利用または廃棄予定の国産木材を有効活用する事例が生まれています。木材に限らず様々な生物資源が燃料になりえるため、バイオマス発電は循環型社会をつくる重要な選択肢のひとつです。
しかし、バイオマス発電では燃料の生産や管理に気を配らないと、再生可能エネルギーの本質であるサステナブルを達成できないばかりか、マイナスの影響が起こる懸念もあります。それを回避するために様々な第三者認証がつくられていますが、まずはどんな課題があるかをご説明します。
バイオマス発電がサステナブルであることを担保するために、大きく以下のような課題をクリアする必要があります。
では、それぞれ解説します。
バイオマス燃料を生産する過程で、森林の伐採や有害性の強い農薬による周辺環境の汚染などが発生するケースがあります。たとえば、バイオマス燃料のひとつであるアブラヤシの農園開発のために、保護価値の高い熱帯林が伐採された例などが挙げられます。
また、CO2をはじめとする温室効果ガスの増加も課題のひとつです。先述したように、バイオマス燃料そのものは大気中のCO2を吸収した植物等が原料であるため、発電のために燃焼させても大気中のCO2を増やすことはありません。 しかし、開発のために自然林への火入れが行われれば多量のCO2が排出されます。そのほか、燃料の栽培・加工・輸送等に使用する化石燃料が多いと、結果として燃料生産~発電の全行程においてCO2排出を増加させる可能性があります。
バイオマス燃料の生産・管理のためには、人的リソースが多く必要になりますが、海外の開発においては、移民労働者の不当な扱いや児童労働などが報告されています。
一例では、月444$(日本円で約5万円)、食費・宿舎無料・労働許可証発給の条件で労働移住した20代のフィリピン男性が、賃金不払いや労働許可証未発給、水・食糧の提供不足など不当な扱いを受けていたケースもあります。
また、無許可の農園開発、地域住民の土地権を無視した開発、国によって保護されている国立公園にアブラヤシ農園が作られる等の事例も出ています。
このように、バイオマス発電には自然環境上・社会環境上のいくつかの課題があります。
一方で、すでに述べたようにたくさんのメリットがある有益な発電方法です。
あらためてメリットと課題を整理してみましょう。
<バイオマス発電のメリット>
・大気中のCO2を増加させずに発電できる
・電力の供給量をコントロールしやすく、社会生活の安定化につながる
・廃棄物や未利用の資材を燃料に用いることで、循環型社会に寄与する
<バイオマス発電の課題>
・自然環境への配慮が必要(農園開発のための自然破壊が行われないようにするなど)
・社会環境への配慮が必要(労働者や住民の権利を守るなど)
上記のような課題をクリアし、バイオマス発電を持続可能なものとして利用し続けるために、「第三者認証」の重要性が増しています。
第三者認証は、バイオマス発電が自然環境や社会環境にとってサステナブルであることを担保するために、様々な組織・団体によってつくられ運営されています。 各認証は、
などの様々な観点で基準を定め、バイオマス燃料の生産~発電の工程における持続可能性を判定しています。
多くの事業者が第三者認証バイオマス燃料のみを利用すれば、自然環境・社会環境に悪影響を及ぼす開発が淘汰され、環境破壊の最小化につながります。
第三者認証には複数の種類の認証スキームが存在します。
グローバルサプライチェーンで使用される持続可能性認証基準は210ほどもあると言われており、自然環境や社会環境の保護を考慮しつつ、バイオマスの製造・加工・輸送などに関するあらゆる基準を設けています。
バイオマス関連の代表的な第三者認証としては次の7つが挙げられます。
では、7つの認証を簡単にご紹介します。
RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)は「持続可能なパーム油のための円卓会議」と意味し、パーム油関連の7つのステークホルダーによって構成されている組織です。
「森林破壊などの悪影響を最小限に抑えながら、持続可能なパーム油の成長と利用を促進する認証」を役割とします。
GGL(Green Gold Label)は「持続可能なバイオマスのための国際認証プログラム」を意味し、調達されたバイオマス製品が「持続可能な方法で生産された」という保証を提供する役割があります。
持続可能なバイオエネルギーの製造・加工・輸送など網羅し、独自の追跡や記録を担保する認証です。
SBP(Sustainable Biomass Program)とは「持続可能なバイオマスパートナーシップ」の略です。
SBPは発電所でバイオマスを使用する主要な欧州の公益事業会社によって設立され、エネルギー利用のための持続可能な木製バイオマスを認証する役割があります。
RSB(Round Table for Sustainable Biomass)は「持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議」を意味し、持続可能なバイオ燃料生産を保証するための社会的・自然環境的要件の普及を役割とした団体です。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校の呼びかけで組織されました。
FSC (Forest Stewardship Council)および PEFC(Programme for the Endorseement of Forest Certification Shemes)は、森林および木材製品が責任ある持続可能な方法で管理されていることを保証する認証です。
FSCは「森林管理協議会」の略で、国際的な森林管理認証をベースとした協議会を指します。国際統一基準を各地域に向けて運用するのがFSCの制度です。
PEFCは森林認証プログラムであり、各地域が策定する森林認証制度を政府間プロセス基準に基づいて相互承認し、運用することを制度としています。
ISCC(International Sustainability & Carbon Certification)は「国際持続可能性カーボン認証」の略で、バイオマスならびにバイオエネルギーの認証制度として世界初の専用プログラムです。
バイオ原料・製品・石油由来廃棄物からのリサイクル原料・製品認証の取得が可能です。
株式会社エナリスでは2ヶ所のバイオマス発電所があり、2015年より年間総発電量約2.8億kWhの発電を行って来ました。「第三者認証取得した燃料を使うことが自然環境・社会環境にとって適切である」との判断から、2ヶ所の発電所ともにRSPO認証取得のパーム油のみを使用しており、資源エネルギー庁が指定する猶予期間内にRSPO認証パーム油を完全導入した国内唯一の発電所となっています。
エナリスは今後も、温室効果ガス排出をはじめ、自然環境・社会環境へ配慮した発電事業を行っていきます。
エナリスの「電源連動型再エネメニュー」
エナリスでは、再生可能エネルギー指定のトラッキング付非化石証書を使用して、実質再生可能エネルギー電気100%として電力を供給します。
価格面でも、一般的な市場連動型メニューと比べると急激な価格変動が小さい料金設定です。
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