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今さら聞けない「SDGs」 カーボンニュートラルに繋がるゴールと企業に対応が求められる理由
SDGsとは、環境問題や人権のほか、所得や教育、文化的背景、性別による格差問題など幅広い社会課題の解決に向けて定められた目標のことです。2015年に国連で採択されて以来、ビジネスの場においても取り挙げられることが増えてい […]
脱炭素の潮流が世界中で加速している昨今、多くの企業が「RE100」に関心を持ち、参加を検討したり具体的に参加のためのアクションを起こしたりしています。
本記事では、RE100の概要やメリットをご紹介するとともに、混同されがちな概念や、中小企業向けRE100とされる「再エネ100宣言 RE Action」について説明します。
東京工業大学大学院 総合理工学研究科を修了後、約30年間、環境、再生可能エネルギー、ODAコンサルタント会社に勤務。在職中は自治体の環境施策、環境アセスメント、途上国援助業務の環境分野担当、風力や太陽光発電プロジェクトなど幅広い業務に従事。技術士環境部門(環境保全計画)、建設部門(建設環境)の資格を持つ。また、英語能力(TOEIC満点)を生かし、現在は英語講師としても活躍中。
RE100とは、企業自らが使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなう ※ ことを目指す国際的なイニシアチブです。
RE100には世界各国や日本の企業が参加しています。脱炭素社会の実現を目指した企業グループである「JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)」によると、RE100には多様な分野から企業が参加しており、その売上合計は6 兆6000 億米ドル(日本円で約940兆円)を超えています。
RE100における再生可能エネルギーの基準には、証書を活用した「実質再生可能エネルギー」も含まれています。
RE100に類似するものとして、「EP100」と「EV100」があります。
「EP100」は、「100% Energy Productivity」の略称であり、エネルギー効率の高い技術や仕組みを構築し、省エネ効率を50%改善するなど、企業が行う事業のエネルギー効率を倍増させることを目標とする国際イニシアチブです。
EP100とRE100、どちらも脱炭素化の推進という意味で注目されていますが、RE100が再生可能エネルギーの導入を推進するのに対し、EP100は「省エネ等によるエネルギー効率化」を推進する点に違いがあります。
「EV100」という国際イニシアチブも存在します。こちらは、「100% Electric Vehicles」の略称で、事業用モビリティー(輸送手段)の100%ゼロエミッションを目標に掲げています。具体的なソリューションとして輸送手段の電化(Electro-mobility)を推進し、輸送に関する温室効果ガスの排出や大気汚染、騒音公害を防止することを目指しています。RE100は企業が利用する「電力」に焦点を当て再生可能エネルギー導入を推進するのに対し、EV100は、企業が利用する「車両」に焦点を当て「100%電気自動車化」を推進するという点に違いがあります。
環境省は、2018年6月にRE100に公的機関としては世界初のアンバサダーとして参画し、RE100の普及や、公的施設での再生可能エネルギー由来の電力への切り替えに向けた率先的な取り組みを開始しました。また、自らも「環境省RE100」として、2030年までに使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指しています。
2019年には環境省RE100達成のための行動計画を策定し、2020年度に以下の3つのアクションをとると定めました。
1.既に再生可能エネルギー30%の電力を調達している新宿御苑において、再生可能エネルギー100%の電力を調達します。
2.すべての地方環境事務所(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)管内で、再生可能エネルギー100%の電力調達に向けた取り組みを開始します。
3.国立水俣病総合研究センターなど電力消費量の多い直轄施設について、より安価な電力を調達できる共同調達を試行し、これらの施設での2021年度における再生可能エネルギー100%の電力調達の可能性を探ります。
引用:環境省HP「環境省RE100の取組」https://www.env.go.jp/earth/re100.html
2020年には、これまで環境省が推進してきた再生可能エネルギー由来の電力調達の取り組みを広げていくために、公的機関のための再エネ調達実践ガイド『気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦~』を公表しています。
次に、RE100参加企業の推移を見てみましょう。RE100参加企業は、企業活動において多くのメリットを得ることができるため、年々増え続けています。
現在、RE100には世界で383社 ※ の企業が参加しており、日本企業は73社 ※ が参加しています。この参加数は、米国に次いで世界2位となっており、日本企業が環境問題に積極的に関わろうとしている姿が見てとれます。
業種別に見ると、世界的には⾦融業が、⽇本では建設業、電気機器産業、⼩売業が多い傾向にあります。
2022年10月現在
では、企業はどんなメリットを感じてRE100に参加しているのでしょうか。 RE100に参加する大きなメリットとしては、企業の社会的評価が高まり、ESG投資を受けやすくなるという点が挙げられます。
ESG投資とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの観点を重視して投資先を選択する考え方のことです。
ESGについて詳しくはこちら
>ESG投資とは?注目の背景やCSRやSDGsとの違いを解説
>ESG経営とは?企業のメリットや取り組み事例をご紹介
RE100に参加した企業は、使用電力を再生可能エネルギー由来のものに変えていくことになります。これにより企業の環境への貢献度が高まり社会的評価が向上することで、ESG投資家の目にも触れやすくなります。RE100への取り組みには、企業イメージを向上させながら、結果的に資金を集めやすくなるというメリットがあります。
また、再生可能エネルギーの導入によって、環境貢献・環境負荷軽減への社内意識が高まることや、環境に対する具体的な活動や目標をファクトをもって伝えることができるようになることから、採用活動で有利になることも期待できます。
さらに、RE100に取り組むことで温室効果ガスの排出を削減できるため、CDP ※ などのイニシアチブからの評価を上げられる可能性もあります。
CDP:気候変動などの環境分野への取り組みを行っている国際NGOです。
(詳しくはこちら>「CDPとは?活動内容の詳細、企業が参加する意義とは」)
このように、RE100への参加には、中長期的に考えると、企業の社会的評価を向上させたり資金を集めやすくなったりするというメリットがあります。
RE100に参加するには、その条件や方法を理解する必要があります。
RE100の参加条件は下記の3点です。
1. 消費電力量が年間100GWh以上であること
※現在、日本企業は50GWh以上に緩和されています。2.自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2及び1の電力消費)の100%再生エネ化に向け、期限を切った目標を設定し、公表すること
3.グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること
引用:JCLP「FAQ よくあるご質問(RE100参加について)」https://japan-clp.jp/membership/faq-reoh
1GWh=1,000,000kWh
GHGプロトコル:温室効果ガス排出量の算定・報告に関する基準等を発行している団体。GHGプロトコルが策定した基準のひとつであるScopeは、企業の温室効果ガス算定の範囲を定めており、Scope1は企業の事業活動による直接的な排出、Scope2は電気等の使用による間接的な排出、Scope3はScope1・2以外の事業者の活動に関連する他社の排出を指す。
RE100に参加したい場合は、RE100事務局に連絡を取り、用紙への記入や必要な資料の準備をして事務局へ送信します(英語のみ)。
>RE100参加のお問い合わせはこちら(RE100 HP<英語サイト>)
また、JCLPがRE100参加の支援をしてくれます。
RE100参加のためにJCLP加盟は必須ではありませんが、JCLPの支援を受けるには加盟が必要です。
ここまで、RE100参加のメリットや条件を見てきましたが、「うちは中小企業だから参加できない」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、中小企業版RE100と呼ばれる「再エネ100宣言 RE Action」であれば、中小企業や自治体、教育機関、医療機関などの団体も参加できます。
RE Actionの参加要件は以下の通りです。
①遅くとも2050年迄に使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること
引用:再エネ100宣言 RE Action協議会「再エネ100宣言 RE Actionについて」https://saiene.jp/about
②再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施
③消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること
RE Actionに参加すると、ロゴの利用やRE100参加企業などとの交流など、さまざまな参加特典が受けられます。
RE Actionには多くの企業や団体が再エネ推進に向けて取り組みを進めていて、参加数が増加しています。2020年12月時点の参加団体数は101でしたが、2022年10月時点の参加数は286です。このようにRE Actionが注目を集める背景には、大企業がRE100をはじめとした脱炭素の取り組みを推進するなかで、サプライチェーンにも脱炭素を進めてほしいという要求が高まっていることが挙げられます。中小企業の方は、RE Actionの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
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