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再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化の促進をねらいとしたFIT制度からFIP制度 ※ への移行によって、再エネ発電事業者に大きな変化が求められています。
※FIT制度とFIP制度
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
FIP制度とは?FIT制度に追加される再生可能エネルギーの買い取り制度を詳しく解説
FIP制度への移行は「ビジネスチャンス」でもありますが、一方で固定買い取りではなくなることへの不安を感じている再エネ発電事業者も多いかもしれません。さらに、FIP制度ではFIT制度と異なり、発電事業者にさまざまな専門業務が課せられることも負担に感じられるでしょう。
そんな再エネ発電事業者をサポートするのが、「アグリゲーター」と呼ばれる専門事業者です。
「アグリゲーター」は複数の再エネ電源を束ねることで、変動性が高くなりがちな再エネ電源の供給安定化をはかります。また、専門業務を代行するなどの副次的なサービスを提供する事業者もあり、再エネ発電事業者にとって強い味方になってくれる存在と言えます。
本記事では、非FITやFIP制度下の再エネ発電事業におけるアグリゲーターの概要や役割、信頼できるアグリゲーターの選び方などを解説します。
東京工業大学大学院 総合理工学研究科を修了後、約30年間、環境、再生可能エネルギー、ODAコンサルタント会社に勤務。在職中は自治体の環境施策、環境アセスメント、途上国援助業務の環境分野担当、風力や太陽光発電プロジェクトなど幅広い業務に従事。技術士環境部門(環境保全計画)、建設部門(建設環境)の資格を持つ。また、英語能力(TOEIC満点)を生かし、現在は英語講師としても活躍中。
まずは、「アグリゲーター」の意味や注目される背景、種類などを解説します。
アグリゲーター(aggregator)とは、何かを収集・集積する人や組織をさす言葉です。電力分野におけるアグリゲーターとは、電力を束ね、効率的かつ安定的に電力を供給する事業者を指します。
電力分野におけるアグリゲーターは大きく2種類に分けられます。「発電側のアグリゲーター」と「需要側のアグリゲーター」です。
この記事で解説する再エネ発電事業におけるアグリゲーターは、発電側のアグリゲーターです。発電側のアグリゲーターは、複数の発電設備を束ねて管理することで、インバランスリスクの低減といったメリットを再エネ発電事業者に提供します。
注:バランシングとは
バランシングとは、「発電可能な再エネ電気の見込みの数値(計画値)」と「実際に発電した数値(実績値)」を一致させるための調整のこと。バランシングに失敗すると一般送配電事業者が差分を調整することになり、発電事業者がそのコストを支払います。
「バランシンググループ」は、インバランスの支払いを低減させるために事業者同士で電力を融通し合うグループのことです。
アグリゲーターは特定卸供給事業者制度のもと届け出が必要となっており、ライセンスを取得している専門性の高い企業がその役割を担っています。
FIP制度導入にともない、再エネ発電事業者には専門業務やリスクの負担が生じています。
具体的には発電計画の提出、発電の計画値と実績値に誤差が生じた場合の調整費の負担(インバランスコスト)、電力の販売先の開拓などを自社で対応しなければなりません。
専門的なノウハウを持っていれば、再エネ発電事業者が自社でこれらの業務を行えるでしょう。しかし、FIT制度において上記のような業務やリスクの負担は再エネ発電事業者からは免除されてきたので、専門的なノウハウを持つ再エネ発電事業者は少ないのが現状です。
そのため、再エネ発電事業者を支援する「アグリゲーター」が注目されています。
それでは、再エネ発電事業者にとって、アグリゲーターと契約することはどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットを具体的に解説します。
非FIT/FIP制度のもとで再エネ発電事業を始める場合、発電事業者が発電量を予測して発電計画を立案・提出する義務を負います。
発電計画は、天気や日射量の予想を踏まえ、事前に算出するのですが、もちろん天気予報が外れる場合もあります。再エネ発電は計画通りに発電するのが難しい電源です。発電所が遠隔地にある場合などは、天候が読みにくく、さらに困難です。
一方、アグリゲーターは、予測技術や全国のさまざまな地理条件での予測経験など、各事業者のノウハウを活かしそれぞれの発電設備に合った発電計画を立案します。
アグリゲーターの中には、発電設備や蓄電池などをリース会社を通して提供し、再エネ発電事業をサポートをしてくれる事業者もいます。再エネアグリゲーターが提供するサービスを利用すれば、発電事業者が再エネ発電事業を始めるときのハードルを下げることができます。
非FIT/FIP制度のもとでは、計画通りに発電ができなかったときに再エネ発電事業者がインバランス料金を負担する必要があります。
たとえば、発電計画よりも実際の発電量が少ない場合はインバランス料金を支払わなければなりません。不足する電力が多いほど支払うインバランス料金が高くなります。
逆に発電した電気が余ってしまった場合は、余剰インバランス料金が0円となるケースもあり、収益が得られなくなります。
一方、アグリゲーターに委託すれば、発電量が不足したときに外部から電力を調達してくれたり、余ったときには蓄電池を活用するなどの調整業務を行ってくれたりします。
さらに、アグリゲーターの中には、発電事業者を束ねてグループを作り、計画値と実績値の差をグループ内でならすことで、インバランスリスクを低減させてくれる事業者もあります。
インバランスによる支払いが低減され、再エネ発電事業の経営を安定化させることができます。
非FIT/FIP制度のもとでは、発電した電力で収益を得るには電力を安定的に購入してくれる販売先を見つけなければならず、これも再エネ発電事業者にとっては大きな負担です。
しかし、アグリゲーターがいれば、卸電力市場や小売電気事業者、電力ユーザーなどから適切な電気の活用先を見つけてくれるため、自力で開拓する必要がありません。アグリゲーターの中には、電力の買い取りをしてくれる企業もあります。
また、仮になんとか自社で活用先を見つけられたとしても、活用先が「再エネ由来の電力であること(環境価値)」を求めているかを踏まえて適切な価格設定をするには知識や経験が必要です。
その点、アグリゲーターのサポートがあれば、環境価値を必要とする電力ユーザーとのコーディネートや、電力ユーザーが環境価値を利用しない場合、環境価値だけを切り離して活用先を見つけるなどの対応が期待でき、再エネ由来の電力の価値を余すことなく収益につなげられます。
このように再エネ発電事業者の強力なパートナーになってくれる「アグリゲーター」ですが、優れたアグリゲーターを選ぶにはどのような視点が必要なのでしょうか。
ここからは、再エネ発電事業者がアグリゲーターを選ぶ際に注目してほしいポイントを解説していきます。
アグリゲーターが万が一倒産してしまった場合、発電事業者は大きなダメージを受けることになります。自社の再エネ発電事業を守りながら新たな委託先を探すのは大変なことだからです。
そのため、もっとも大事なポイントは、経営基盤が安定していて一定期間継続的にサポートしてもらえるアグリゲーターを選ぶことです。
企業名はあまり聞いたことがないという場合でも、大手企業がバックアップしているケースがあります。アグリゲーターを選ぶときは、出資元まで確認するのがベターです。
多くの電力ユーザーとつながりを持っているアグリゲーターを選ぶことも重要な視点です。少数の電力ユーザーしかつながっていない場合は、そのユーザーの需要に左右されてしまい、安定的な収益化が難しくなるリスクが考えられます。
一方、多くの電力ユーザーとのつながりがあれば、一部のユーザーの需要が減ったとしても、他のユーザーの需要でまかなうことができるため、市況を踏まえて、電力の売り先を柔軟に確保することができます。
さらに、再エネは天候の影響を受けやすいので、電力ユーザー側との調整も重要です。電力が余ってしまう場合は、蓄電池への充電の要請を受け入れてくれる電力ユーザーをアグリゲーターに見つけてもらったり、逆に電力が足りない場合はアグリゲーターが電力ユーザーに呼びかけ蓄電池の電力を優先的に使用してもらったりと、電力ユーザーが動いてくれることで解決できる課題が多くあります。
より多くの電力ユーザーと深くつながっている企業ほど、よいアグリゲーターである可能性は高いでしょう。
再エネ発電は天候の影響を受けやすく、供給が不安定になりやすい電源です。その対策として、アグリゲーターは発電事業者を束ねてグループを作り(バランシンググループ)、電力の過不足を融通し合って計画上の発電量と実際の発電量を一致させたり、発電量の凸凹をならして全体の供給を安定化させたりしてます。
ここで重要となるのが、「個々の発電予測の正確さ」です。
精度の低い発電予測を元にバランシンググループを作ったところで、管理が大変になるだけで、プラスの効果が生まれません。それどころかバランシンググループ内での電力の融通に失敗すれば、それぞれの発電所のインバランスコストがかさみ、アグリゲーターは経営的に立ち行かなくなるでしょう。
アグリゲーターが活用する「発電予測システム」は、最新の知見を取り入れて日々進化しており、システム自体の水準もそれを活用する技術者のスキルもアグリゲーターによって大きく異なるのが実情です。その結果、各アグリゲーターの発電予測の精度にも差が生まれてきます。
アグリゲーションビジネスが注目され始めたのは最近ですが、国は以前から取り組んでおり、国や地方自治体と組んで実証実験を重ねてきたアグリゲーターもあります。
過去に行われた実証実験の実績や、予測技術に関するリリース情報を確認し、企業の取り組み内容を把握して選ぶことも大切です。
ここまで、再エネ発電事業をサポートする「アグリゲーター」に関して、一般的な情報をお伝えしてきました。ここからはエナリスが提供するアグリゲーションサービスを紹介します。
エナリスは、特定卸供給事業者として初めてライセンスを取得した、第一号のアグリゲーターです。再エネ発電事業が経営的に安定するよう、収益の拡大をサポートし、専門業務の負担やインバランスリスクを低減させます。
エナリスの再エネアグリゲーションサービスには以下の3つの特長があります。
エナリスの再エネアグリゲーションのサービスを詳しく知りたい方は下記のWebページをご覧ください。
>再エネアグリゲーションサービスページはこちら
アグリゲーターの意味や役割、再エネ発電事業を始めるときにアグリゲーターを利用するメリットを解説しました。
アグリゲーターは再エネ発電事業者の代わりに、発電量の予測や発電計画の立案などの専門業務を代行してくれます。
それだけではなく、再エネ発電事業で安定的に収益を上げるために、さまざまなサポートもしてくれます。
新しく再エネ発電事業に取り組もうか悩んでいるお客さまや、FIP制度への移行に不安を感じている再エネ発電事業者さまは、ぜひお気軽にエナリスにご相談ください。
エナリスは、再エネ発電事業の安定経営をサポートするアグリゲーションサービスを提供します。
発電計画の作成などの専門業務の代行だけでなく、インバランスリスクの低減や電力の固定買い取りも提案可能です。
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