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CDP2024の変更点は?統合質問書や中小企業向け質問書等を解説
近年、世界中で盛んになっている気候変動対策の一環として、CDPの質問書に回答する企業が多くなっています。CDPの質問書は毎年プライム上場企業を中心とした大企業に対して送付されていますが、2024年にはこの質問書の内容が一 […]
石炭や石油、天然ガスなど火力発電に必要な燃料の輸入価格の上昇の影響を受け、電気料金の高騰が続いています。
日々の節電の積み重ねにより使用電力量を抑える努力をしたとしても、それを上回るスピードで電気料金の上昇が続いており、頭を悩ませている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
節電で電気料金を削減するには、実はコツがあります。やみくもに節電するのではなく、電気料金の仕組みを知って賢く節電しませんか?
本記事では、事業への影響を最小限にしながら電気料金を抑える有効な手段として、「ピークカット」と「ピークシフト」をご紹介します。
「ピークカット」とは、一年間でもっとも電気を使用する時間帯の使用電力量を削減することです。
例えば、多くの店舗や事務所では冷房空調のフル稼働により、真夏の昼間時間帯の使用電力量がピークに達することが一般的です。ピークカットは、その一日の中でもっとも多く電気を使用する時間帯の使用電力量を抑えて、1か月の中での電力使用量のピーク(最大デマンド、最大需要電力)を下げることを指します。
年間を通して電力使用のピークを下げることは契約電力を下げることにつながり、「基本料金」を削減することが出来ます。
また、ピークカットの結果として使用電力量も削減できるため、大幅な電気料金の削減につながることも期待できます。
※本記事では、上記の「最大デマンド」等、電気に関する用語がいくつか登場します。記事の末尾に用語の解説をまとめていますので、ご参照ください。
>電気料金の用語説明はこちら
「ピークシフト」とは、一年間でもっとも電力を使用する時間帯の使用電力量を他の時間帯に分散させる手法です。
全体的な使用電力量は変わりませんが、ピークカットと同様に電力契約の基本料金を下げることが可能です。
また、ピーク時間帯に使用していた電気を料金が安価な時間帯に振り分けると、単価の差額で電気料金を抑えられる可能性もあります。
例えば、工場や事務所などにおいて始業時のエアコンの稼働タイミングをずらすことで、同時稼働による最大デマンドの上昇を防ぐ手法が挙げられます。
ピークカット・ピークシフトを有効に行うには、上記の解説にもあった「最大デマンド」「契約電力」「基本料金」の関係を理解することが重要です。
そこでここからは、電気料金の仕組みについてご説明します。
上の図は、電気料金の構成を表したものです。このうち電力量料金・燃料費等調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は、「単価×使用電力量」の式で計算され、使用電力量によって毎月の請求額が変動します。
基本料金は、「基本料金単価×契約電力×(185-力率%)」の式によって計算されます。基本料金単価は契約している電気料金メニューによって決まり、契約の期間(一般的には1年間ですが、複数年契約の場合もあります)は、原則固定となります。
ピークカット・ピークシフトによって削減が期待できるのは、主に「基本料金」の部分となります。
先述の通り、基本料金は「基本料金単価×契約電力×(185-力率%)」で算出されます。
契約電力は、当月を含む過去1年間の最大デマンドのうちでもっとも大きい値に決まります。
※上記は契約電力500kW未満を目安とする「実量制」における契約方式です。
実量制はその施設で実際に使用した実績をもとに契約電力を決定する方法で、公平で合理的な制度とされています。
本記事では、「実量制」をベースに解説をしています。
(契約電力が500kW以上となる場合は、過去1年間の使用実績・設備容量・次の1年間の使用予定など複数の観点で協議を行う「協議制」で契約が行われます。)
最大デマンドは、年間でピークとなる最大デマンドによって決まります。ピーク時の最大デマンドを下げられると、契約電力が下がり、基本料金も下がることとなります。逆に、ピーク時の最大デマンドが上がると契約電力が上がることとなります。デマンドを越えた日からその影響は1年間続くこととなります。例えば、1年の中でたった30分間電力を多く使うだけで1年間の最大デマンドを更新してしまい、当月から向こう1年間の契約電力が上がり、基本料金が1年間高くなるというケースもあります。
そのため、基本料金を抑えるには「夏場・冬場の電力使用のピークを抑えること」、その後は「年間を通じて電力使用の急激なピークが出ないように維持すること」、このふたつが重要です。
日常的な節電の方法としては、下記のような対策が採られることがあります。
・電灯をLEDに替える
・エアコンの温度を省エネ設定にする
・サマータイム制など、勤務時間の見直しを行う
しかし、通常の営業を維持したまま現場のオペレーションで節電を常時継続し徹底することは非常にハードルが高いものです。
そこで、ターゲットとする月や時間帯を絞り、効率よく契約電力の抑制につなげる方法が、「ピークカット」や「ピークシフト」です。
では、ピークカット・ピークシフトで最大デマンドを下げることで、どの程度年間の基本料金を抑えることができるのでしょうか。
<削減シミュレーション例>
(Before)契約電力80kWの場合
80(kW)×1,500(円)×0.85(力率割引)×12(ヶ月) = 1,224,000円
(After)契約電力70kWの場合
70(kW)×1,500(円)×0.85(力率割引)×12(ヶ月) = 1,071,000円
※ともに基本料金単価1,500円/月で試算
上記のように試算すると、最大デマンドを10kW下げることに成功すれば、年間で15.3万円の基本料金を削減できることになります。
ここまで見て来たように、電力使用がピークとなる月・時間帯に的確にピークカット・ピークシフトを実施することで、電気料金の削減につながります。節電以外の方法もご紹介しておきましょう。
まずは自社の電力使用状況を把握し「見える化」することが重要です。
どの時間帯に、どのような機器が、どれくらい電力を消費しているかをモニタリングし、いつ・何の機器で・どの程度節電するかを絞り込みます。
グラフ等でわかりやすく視覚化することで、従業員の節電意識の向上も図れるでしょう。
また、デマンド値が上昇した時に注意喚起のアラートを発したり、空調機器などを自動的に制御運転をしたりしてくれるシステムならさらに理想的です。
>エナリスのエネルギーマネジメントシステム「FALCONⅡSYSTEM」のご紹介はこちら
ピークカットには自家消費型の太陽光発電設備の導入が効果的です。
日中の使用電力量ピークの時間帯に発電し、施設内に自家発電の電力を送り込むため、電力会社からの購入電力量を抑えることが可能になります。
※太陽光発電設備だけでもピークカットは可能ですが、電力使用のピーク時に対応するためには、この後ご説明する蓄電池も併せて導入するとより効果的です。
ピークシフト向けの手法としては、蓄電池の設置が挙げられます。
安価な深夜電力で蓄電池に充電しておき、昼間のピーク時間帯に放電し電力会社からの購入電力量を抑えます。
また、蓄電池は災害時の非常用電源として活用でき、企業のBCP対策として大きな助けになることでしょう。
ここまで、ピークカットとピークシフトの手法を活用して電気料金を抑える仕組みについて解説してきました。
まずは使用電力量を「見える化」して、自社の省エネターゲットを見つけることから始めましょう。
エナリスではエネルギーマネジメントシステム「FALCON II SYSTEM」により、お客さまの省エネと電気料金削減のお手伝いをいたします。
また、電気の使用には地球温暖化の原因のひとつとされるCO2の排出を伴います(CO2排出係数ゼロの電力メニューの場合、この限りではありません)。使用電力量の削減はCO2排出量の削減にもつながり、企業の環境経営にも大きく寄与できます。
電気料金の高騰にお悩みの企業ご担当者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。
エナリスのエネルギーマネジメントシステム「FALCONⅡSYSTEM」
会社の使用電力量を「見える化」して、電気料金の削減につなげませんか?
FALCONⅡSYSTEMなら、30分ごとの平均電力(デマンド)を常に予測し、設定した基準を超えそうな場合に警報を通知。最大デマンドを抑え、基本料金の削減につなげます。
●基本料金
電気を全く使わない場合でも支払う必要のある料金のこと。基本料金単価×契約電力×(185-力率%)の計算式で求められます。
●基本料金単価
契約電力kW当たりの単価を定めたもの。電力会社・電気料金メニューにより異なります。
●契約電力
当月を含む過去1年間の各月の最⼤需要電⼒のうちで、最も⼤きい値※。
※契約電力500kW未満を目安とする「実量制」における契約方式です。契約電力500kW以上を目安とする「協議制」の場合は、過去1年間の使用実績、設備容量、次の1年間の使用予定など複数の観点で協議を行い決定します。
●最大デマンド(最大需要電力)
電気の使用量を30分ごとに計量し、そのうち月間で最も⼤きい値を2倍にした数値。
●電力量料金
使用した電力量に応じて支払う料金。(電力量料金単価×1か月のご使用量) ± 燃料費調整額(燃料費調整単価×1か月のご使用量)で計算されます。
●電力量料金単価
電気を利用する際のkWh当たりの金額が、電力量料金単価となります。電力会社や電気料金メニューによって異なります。
●燃料費等調整額
電気を発電するのに調達した燃料の価格変動を反映させる燃料費調整制度のもとで、使用電力量に応じて算出される金額のこと。電圧区分、月、お客さまが所在するエリア等によって異なります。
●再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギーを買い取るために電力会社が払った費用を消費者に負担してもらうお金のこと。
●再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
再生可能エネルギー発電促進賦課金を決めるkWhあたりの金額のこと。年間で再生可能エネルギーがどれくらい導入されるかを推測し、1年ごとに経済産業大臣が金額を決定します。
●力率
供給された電力のうち、有効に活用された電力の割合のこと。
電力会社では多くの場合、力率85%を基準として、それより効率がよい場合には基本料金を割引(力率割引)し、効率がわるい場合には割増(力率割増)するという施策を取っています。
東京工業大学大学院 総合理工学研究科を修了後、約30年間、環境、再生可能エネルギー、ODAコンサルタント会社に勤務。在職中は自治体の環境施策、環境アセスメント、途上国援助業務の環境分野担当、風力や太陽光発電プロジェクトなど幅広い業務に従事。技術士環境部門(環境保全計画)、建設部門(建設環境)の資格を持つ。また、英語能力(TOEIC満点)を生かし、現在は英語講師としても活躍中。
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